蜂蜜部屋
癒しのとき
がらんとしたマンションの一室であるが、疲れて帰るたびに私の部屋には常に甘い香りが漂っている。鯛焼きや甘栗の香りであれば、四六時中嗅いでいることに苦痛を覚えるかもしれないし、はちみつ臭もズバリ蜂蜜の匂いなら飽きてしまうことだろう。でもこの部屋の匂いは違う。どんな体調で帰ってきても、ホッとする。
カウチポテト
昔でいうところのそんな感じで時間を過ごす。だがカウチもなければ一緒にポテトチップスをぱりぱりいわせる相手もない。マヨネーズおかきと熱々の知覧茶を脇に置き、リノリウムの上にベタっと座って、昨夜はTBSで『大恋愛』を観た。ふと、何のために観ているんだろう?と思わないでもなかったが、間宮真司ことムロツヨシさんと恋人の尚(戸田恵梨香さん)のやりとりを眺めながらふと、言葉を紡ぎ「書くということ」の尊さを思い出した。自分の琴線がそこにある。
蜜蝋
「密猟」ではなく、「みつろう」である。この部屋にある唯一の家具らしきものが木製机で、職人さんが丁寧に塗り込んでくれたようだ。1年経っても甘すぎず嫌味もない素敵な蜜の香りが毎日私を迎えてくれる。唯一、赤坂らしい贅沢さを錯覚する瞬間だ。ただいま、ミツロウ。